オープンオフィスのもたらす効果
最近の企業では、オープンオフィスのスタイルが多く採用されているように感じます。このスタイルを採用することで、従業員同士のコミュニケーションが増え、よいアイディアが生まれるとされてきました。しかし、近年では「オープンオフィスは仕事効率を下げる」「オープンオフィスは気が散る」というような研究結果が多く見られました。それはBBCニュースでも取り上げられるぐらいでした。 www.bbc.com
働く環境やオフィスの快適さは、自分も就職を考える上では1、2番目に重要な指標だと考えています。もちろん、それだけで決めている訳ではありませんが...。
一見、いい考えだと思えるスタイルですが、なぜこのスタイルを用いると仕事効率が下がるのでしょうか。
効率低下の原因は「集中力」
このスタイルがうまく行かない大きな原因の一つに「集中力の阻害」があります。基本的に人間の脳は一度に複数の物事を処理することに向いていません。ようはマルチマスクには向いていないということです。それゆえ、一度邪魔が入ると再び集中した状態に戻すのに30分程度の時間を要すると言われています。さらには、空間の広さによって脳の記憶力に悪影響を及ぼすことも示唆されており、この症状は複数人で机を共有するホットデスキングの際に顕著に現れるとのこと。
騒音
追加して、集中力を阻害するのが「騒音」です。完全にオープンな環境で働く人は50%、パーテーションがあるものの高さが低いものに囲まれた空間で働く人は60%が騒音に悩まされているようです。一方、個室で働いている人は、たった16%しか悩まされていないようでした。
オープンオフィスでもメリットがある
しかし、ここ最近の研究結果では「オープンオフィスにもメリットとなる点がある」という報告がされていました。 www.bbc.com
アリゾナ大学が発表した論文の内容が以下のサイトで説明されています。 uanews.arizona.edu
アリゾナ大学で研究を行なったチームは、異なったオフィスで働く被験者の心拍、ストレス度などを3日間に渡って調査しました。その結果、オープンオフィスで働く従業員は完全な個室で働く従業員よりも約30%多く運動しており、オフィス外でのストレスが約10%程度低いという結果を導きました。さらに、ストレス度合いは年齢層が高い人らが高く、運動量は男性の方が多い傾向にあったそうです。
研究を行なったEsther M. Sternberg(エスター・シュテルンバーグ)さんは、オフィスワーカーはそうでない労働者と比較すると、座った状態の時間が長く、健康問題を起こしやすいという視点から見れば、オープンオフィスにすることで、運動量が増加し健康状態の改善が見られるのではないかと述べていました。
結論
否定的な意見の多いオープンオフィスですが、従業員の効率が低下するというネガティブな側面だけでなく、運動量が増加するというポジティブな側面もあります。オープンオフィスとそうでないオフィスの長所と短所を考え、状況に応じて変化させていくことができればベストかもしれないですね。
用語
オープンオフィス
一般的に、壁やドアを取り払い大勢の従業員が上下関係関係なく、同一空間で働くスタイルのことをさす。
ホットデスキング
一つのデスクを勤務時間、勤務日程をずらすことで、他の従業員と共有することを「ホットデスキング」といいます。従業員は毎日出勤したら自分の好きなデスクを選び、仕事をすることができます。このように、デスク割りを完全撤廃した会社もあるようです。